ゲームプランナーの回顧録2

◎開発初期

○企画の立ち上げ

 開発初期、私と上司の二人のチームでクライアントと企画の原案を作っていた。
プロジェクトは続編物で同じ担当だったため、初期の頃は特に難しいことを考える事無く
進行していった。前作の問題点の改善や、どんなシナリオ構成にするか、どういった
要素を追加していくかなどを漠然と詰めていった。 私は主に企画の立案を担当し、
上司は人員の確保などマネージメントの役割で動いていた。


 開発初期は約3ヶ月くらいのスケジュールで、その後から本格的に人員を投入して
作業を開始する計画だった。このプラン自体はさほど問題は無かったと思う。
問題だったのは「3ヵ月後に何を用意出来ているか」であった。この点が二人とも完全に
把握できていなかった。

○プロジェクトの方向性

 私も上司もこのゲームの方向性に関して十分に話し合っていなかった。「続編だから」
という暗黙の了解の下にお互い作業を進めてしまっていたのだ。最初に方向性に関して
もっと深く刷り合わせるべきだったのだ。
 このゲームの「売り」はどこなのか、ターゲットは誰なのか、ユーザーにどう楽しませるか。とてもとても基本的なことだ。こんな当たり前の事が出来ていなかった。


 方向性が定まらなくても時は流れる。クライアントとも打ち合わせをしなくては
ならない。クライアントと折衝するということは、何か成果物を出していかなければいけない。前作の資産を流用しながら少しずつ企画原案が作られていった。が、この企画原案は最終的に殆ど意味を成さないものになった。


 方向性が定まっていないアイデアは使い物にならない。正しいかどうかの基準が分からないからだ。ゲームシステムで遊ばせたいのか、綺麗なグラフィックを魅せたいのか、はたまたシナリオが面白いのか。それが決まっていなければ良いか悪いか判断できないのだ。これは開発中期で散々思い知らされる事になる。